遺言書を書かなくても大丈夫?子どものいないご夫婦こそ注意が必要です

こんにちは、今年の6月から新メンバー
になった行政書士の松倉です。
今日は少し長くなりますが最後までお付き合いください。
「遺言書はお金持ちが書くもの」「財産がそれほどないから、うちは大丈夫」
そう思っていませんか?
実は、財産が多くなくても、遺言書がないことで大きなトラブルになる場合があります。
これから、遺言書を作成しておいた方がよい身近な事例を、定期的にご紹介していきたいと思います。
今回は、子どものいないご夫婦の相続についてです。
例えば、子どものいないご夫婦が、持ち家で仲良く暮らしていたとします。
老後は二人でゆっくり過ごそうと思っていても、いつかはどちらかが先に亡くなります。
「夫婦二人で築いた財産だから、残された配偶者がすべて相続できる」
そう思われるかもしれません。
しかし、実際にはそうとは限りません。
亡くなった方に子どもがおらず、両親や祖父母もすでに亡くなっている場合、
兄弟姉妹がいれば、その兄弟姉妹も相続人になります。
法律で定められた相続割合(法定相続分)は、次のとおりです。
- 配偶者:4分の3
- 兄弟姉妹:4分の1
つまり、残された配偶者だけが、すべての財産を相続できるわけではないのです。
以前、私が関わったご相談でも、夫を亡くされた方が、亡くなった夫の兄弟姉妹から
相続分を求められたケースがありました。
「相続財産の4分の1に相当する分を支払ってほしい。それができないなら家を売却してほしい」
そのような話になり、最終的には裁判にまで発展しました。
残された方は、これからも住み慣れた自宅で暮らしていきたいと願っていましたが、
残念ながら希望どおりの結果にはなりませんでした。
もちろん、兄弟姉妹に相続権があるからといって、必ず自宅を売却しなければならないわけではありません。
しかし、相続財産の大部分が自宅で、預貯金が少ない場合には、相続分をめぐって深刻な問題になることがあります。
また、「兄弟姉妹とは仲が良いから大丈夫」と思っていても、安心はできません。
兄弟姉妹の配偶者など、周囲の家族の意見が影響して、話し合いが難しくなることもあります。
遺言書があれば防げるトラブルがあります
実は兄弟姉妹には「遺留分」という、遺言によっても原則として奪われない最低限の相続分がありません。
そのため、亡くなる方が「すべての財産を妻(夫)に相続させる」という内容の有効な遺言書を残しておけば、原則として兄弟姉妹に財産を分ける必要はなくなります。
これは、子どものいないご夫婦にとって非常に大きなメリットです。
そして、遺言書を作成するのであれば、法律の専門家である公証人が関与して作成する公正証書遺言をお勧めします。
費用はかかりますが、形式の不備などによる無効のリスクを抑えられ、原本も公証役場で保管されるため、安心につながります。
最後に
遺言書は、お金持ちだけが作成するものではありません。
家族の生活を守り、残された配偶者が安心して暮らしていくためのものでもあります。
特に、子どものいないご夫婦で持ち家がある方は、元気なうちに遺言書の作成を検討されることをお勧めします。
「うちは大丈夫かな?」「遺言書はどうやって作ればいいの?」
そんな疑問がありましたら、お気軽にご相談ください。
